Publishing in Japan

A report of Society for Scholarly Publishing, 32nd Annual Meeting, San Francisco

I would like to report an abstract of  the 32nd SSP meeting for my colleagues in Japan, who are involved in scholary publishing as publishers, librarians and researchers. M. Tanifuji, June 10, 2010.

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第32回学術出版学会(SSP)@サンフランシスコ,2010年6月

学術出版(Scholarly Publishing)に関する学会SSPは,学術出版とりわけ科学・技術・医学(STM)分野に根付いた出版者・図書館員,そしてシステム開発や多種サービス仲介業などが等しく参加するコミュニティとして活動の歴史を持つ.このような研究的側面からビジネスと言う実践までを包括的に網羅し,議論することができるコミュニティは日本には存在しない.特にSTM分野の英語論文は,論文が商品となって欧州・北米を中心に進むグローバルビジネス覇権の影響を受け,「研究と論文」という学術活動における普通の光景が,ネットや携帯端末サービス競争の波に飲み込まれ,その風景が急速に変わりつつある.論文を書いた人(研究者)そこのけとばかりに,もしかしたら若い世代の研究者には’待ってました’というタイミングで,Apple/Google/Amazonといった業種が学術出版の風景の中に溶け込み,その中で様々な出版形態を展開している.

果たして10年後,もしかすると5年後の学術出版はどのような姿形になっているのだろうか,主役である研究者はこの変容をどう享受するのだろうか,図書館が論文流通の心配をする必要もなくなっているだろうか-そんなことを考えた会議要旨を紹介する.谷藤幹子(2010年6月)

全体テーマ:

A Golden Oppotunity: A Shared Vision for Publishers, Librarians and Users (黄金に輝く出版の将来-出版者,図書館員そして利用者と共有するビジョン)

1.全体像

会期三日間に6つのセミナーと20のセッション,合間に参加者交流の場,展示会場でのベンダー各社の展示とビジネスミーテイングが平行して進むため,とにかく人の動きが忙しい.主要な出版社とベンダーが揃い,図書館員は少なめ,ほかにデジタル著作権管理(DRM)に関する専門家,出版コンサルタントも多く,学術出版の最近動向を知るには効率の良い会議構成になっている.出版社・学会からの出席が最も多く,新人から大所まで参加層も広い.

プログラムはこちら

2.XML出版:ワークフロー,機能拡張とサービス,研究コミュニテイから購読マーケティング

  • John Shaw, Director of Publishing Technologies, SAGE Publications
    ◆XML化によって目指すべき/実現したこと:
    ・柔軟で、能率的な出版フロー
    ・制作工程の時間短縮による早期出版化
    ・世界共通的に機能する効果的な制作フロー
    ・制作費の圧縮(投資費用対効果)
    ・ツール市場の成熟(何を導入するか)
    ・DTD共通化(->ガイドライン->サポート)
    ・XMLフローのタイプセッター(データ製作)
  • John Atkins, Manager of Production Technology, Wiley-Blackwell
    ◆XML出版の取り組み
    ・コンテンツ構築として
    (i)早期の消費者利用、(ii)将来のデータ取得と再利用
    ・編集と制作工程のXML化によるデータ製作と印刷制作の効果
    ・書籍・雑誌・電子書籍・論文に共通するスキーマの開発
    ・原稿執筆ツールとしてのMS-Wordテンプレートの開発により;
    ・体裁より内容に集中してもらう
    ・制作ではセマンテイックなデータ抽出・変換や、紙面体裁の編集がより簡易的に。
    ・従来の編集者の役割の変化<->質管理が重要(人的ミスなど)
    ・XMLデータ編集の外注化(内製の必要性がなくなる)
    ・XMLライブラリーへの拡張
    ・書籍編集者は異なる出版形式を検討している
  • Q&A
    ・数式の記述としてMathMLを使う場合もあるが、利用者によって
    選択的
    ・セマンテイックな出版が意味を伴ったセマンテイックな(意味づけ
    を伴った)サービスとなるまでにはまだ時間がかかるだろう
    (著者と編集者の協同作業の必要性、タグ付けのバリエーション等々、
    投資効果がでるまでには時間がかかる)
    ・5年くらいのXML出版(データリサイクル)として、著者や所属機関
    でのデジタルアーカイブに対するデータ提供(例えば章単位)は
    有望な可能性である。
    ・多種の出版を一つのWordテンプレートで対応
  • Lisa MacLaughlin, Director of Informationa and Production, AIP
    ◆XML出版
    ・最近開発サービス:UniPHY(SNS), iResearch(iPhone対応),
    DeepDybe(論文レンタル)
    ・現在
    ・Scitaiotin3ーXML出版の高い拡張性の認識から,より効率的で
    actionable discovery,smart interface;
    ・XMLから全文HTML出力化
    ・引用文献リンクや表のクリック拡大表示
    ・検索機能(より特定的な機能)
    などのe-Readerへ向けた拡張サービス
    ・将来
    ・著者機関の連携を視覚化(geo mapping interface)など
    ・購読機関サービス(具体説明なし)
  • Alan Harvey, Deputy Director and Edito-in-Chief, Stanford University
    Press
    *Background:数学専攻、書籍のみ社会学人文学分野で年間165点を出版
    ◆XML出版ビジョン
    従来:MS-Word原稿→InDesign->PDF校正->出版
    現在:内製・フリーランス体制でXML出版(最終形はPDF)
    ・XML出版はlarge corpusに向いているが、殆どの大学出版はcorpus
    を持っていない。
  • Dana M. Compton, Production Manager, PNAS
    ◆将来のXML出版
    ・検索高機能
    ・タグ付けRSS配信
    ・robust収集
    ・付加的な論文配信機能
  • 議論要旨
    ・XML工程をどこから始めるかと言えば、論文投稿あるいは掲載可原稿
    を制作工程に送るところから等いろいろあるが、投資方法として外注
    が可能な現在では、内製より実際的な選択肢。技術的な挑戦がまだ続く。
    (AIP、SUP)
    ・XML化によって販売方法が変わるか、あるいは拡張した販売の可能性
    はあるか?
    ・XMLデータそのものを売るというよりも、例えばバックファイルを
    国単位の収集(ex.Blackwel→独DFG)に売るとか、XML出版物として
    売る(Wiley)
    ・複数のコンテンツマッシュアップによって売り方が多様になりえる
    場合の著作権処理は考慮必要。eBookはJournalよりXML販売はもっと
    複雑

3.電子的著作物の著作権と利用の許諾

  • 電子的著作物のコピーライトの将来
    さらに特定的に限定的になっていくのか(研究者の理解を超えてきている),それとも技術的な方法で出版社が出版に必要な権利/著者が保持すべき権利/等しく共有する権利というようなシンプルな分別ができるようになるか?
    →STM出版社に限れば数カ月以内に加盟出版社ジャーナルのOAポリシーは出版後6カ月に統一される動きがある.(Carol Richman, SAGE)
  • 著者と所属機関間で著作物権利契約がある場合,copyright transferに署名すべきは著者ではなく所属機関なのでは?
    →理屈では所属機関であるが,実際には(ワークフローとして)出版社は著者署名を求めている.(Carol Richman, SAGE)
  • 電子的著作物の権利ビジネスは出版側にとって保存・アクセス・販売・再利用を自在に行うために必須.例えば論文から図写真を取り出したイメージポータル(Springer Image Library). コピーライト権利を確認するサイト”licenselink”は有用.
  • CLOCKSと著作権:電子化コンテンツ(PDFとmetadata)と長期保存イニシアティブdata preservationによって,出版社が出版物の提供継続が困難になったときの代替えホスティングとアクセスを提供するものProtocol契約があれば,キャンセルした購読誌への購読期間中のコンテンツへのアクセスが保障されるというもの.(図書館界でもよく知られた活動)

4.ソーシャルネットワーク利用分析とジャーナルマーケテイング

  • Howard Ratner, Executive Vice President, Naure Publishing group
    ・Nature Network: Social Media Analytics
    ・”Nature Network”, “Nature Video”
    ・Bounce rate, Page view, Av + Twitter followers
    個人情報の保護法下におけるプロフィール情報の情報分析について各国個別の法があるが、サービスプロバイダーとして利用はサービスに還元される。

5.学術コミュニケーションの将来

  • Steve Weich, Vice President and Executive Editor, CHEST, ACCP
    ◆iPhone -なぜアプリを作る価値があるか。
    医学分野の場合:
    ・医者にiPhone/iPadが普及
    ・iPhoneの国際市場penetration
    ・HTML viewerとして市場の44%をiPhoneが占める
    ・モバイル利用者数の成長は2014年にはデスクトップ利用者を超えるだろう。
    (data from morgan stanley)

6.セマンテイック:データマイニング・オントロジーと出版

  • Semantic publishing -Charlie Rapple, TBI Communications
    semantic contents storage ad analysis (data mining)
    Interconnecting content based 

    Semantic browing, “Breahing Space”
    -browing options
    Concept homepages ex. explore respriratory diseases (used by Elsevier)
    -concept tagclouds
    -faced search (refine search result)
    -extract to author homepage
    ex. http://www.researcherprofiles.collexis.com
    – corpus, vocabablary size, how frequently term is changed
    – value the bland of identity

    ◆課題
    – acquiring data, defining parameters for data mining
    – 利他的な開発パートナー, standard ontology
    – contextの更新

  • Ontology Driven Semantic Searches
    by Jignesh Bhate, Molecular Connections PVT LTD (Bagalore)
    #Literature mining, data curation and database development・オントロジー半自動化ができた分野、既に確立された分野から導入する分野いろいろあり。
    Bradley O Allen, Elsevier Labs
    ・新しいワークルフォーとタスクの必要性
    – impacting
    – smart content alert
    ex: Reaxys, Brain Navigator, ScienceDirect/NextBio interface
    ・taxisonomyをどう確立するか。 

    ・リンクされたデータ同士こそがスマートコンテンツの要となる。
    (linked data has a key role to play small content)
    -> httpでメタデータを取得する
    ->論文の露出度があがる

7.STM出版の将来-データリンクこそが将来のSTM出版

    ・一時出版から二次出版へのデータを基本としたリンク
    ・信頼性のあるオントロジー(authoritative ontologies) and 情報資源(repositories) on the Web
    ・collaborative in building needed authoritative resources (OCID)
    ・WebAPIの提供で利用できるようにし、
    ・STM Web of Dataのビジネスモデルを確立する

    iPad/iPod, スマートフォンといった携帯情報端末を意識した論文配信や電子書籍,それらを包括したサービスはどう展開していくか,という点が,黄金に輝く出版の将来の中心に描かれていたことが,大変に興味深かった.セマンティックな論文(という構造をもった情報の)展開については,それが有効に働く医学・化学系の分野では依然として注目を浴びている.しかし出版者,図書館員そして研究者と共有するビジョンとしては,そうした先進技術による論文情報の分解/意味展開よりも,論文流通といった視点で営利・非営利問わず議論が熱く続いている.この議論は,ジャーナルやパッケージ単位の物流から,論文や分類単位の物流を導くことになるのか,ポスト図書館として,研究者個人によるカスタマイズ購読も可能となるのか,大変に興味深いところに来ている.

    以上

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